デニッシュモダンを代表する椅子として高く評価される、ハンスJ.ウェグナーのCH24/Yチェア。
Yの文字を連想させる、ウェグナー独特の成形合板製の背もたれから、Yチェアとして知られるようになりました。
シンプルな形状ながらしっかりと体を支える、人間工学の理にかなったフォルムと機能を備えたデザインです。
1950年からカール・ハンセン&サンで継続して製作され、
その無駄をそぎ落とした美しいフォルムと素材の風合いから世代を超えて愛されてきました。
Yの文字を連想させる、ウェグナー独特の背もたれ
強靭なペーパーコードは快適な座り心地
デザイナーである前に、一人の木工職人であったハンスJ.ウェグナー。常に木材に敬意を払い、その資質と可能性を追求してきました。
木材の特質と特色を生かしたディテール、職人技巧を際立たせる意匠。
これはYチェアをはじめ、ウェグナーがデザインしたすべての木製家具に言えることです。
そして木材への敬意は、カール・ハンセン&サンにとっても社の基本。
自然や環境の保護にもつながると考えています。素材の選択は、木材資源の価値を十分に理解し、サステナビリティを考慮した上で行われています。
Yチェアは、まさにカール・ハンセン&サンが培ってきた技術とハンスJ.ウェグナーの稀有な才能、そしてデニッシュモダニズムの哲学が結実したモノ。その美しいフォルムから半世紀にわたり、その人気と需要を増やしてきました。ともに歩み、そこにストーリーが生まれ、世代を超えて引き継がれていく。
まさにデザインアイコンと呼ぶにふさわしい逸品です。
ハンスJ.ウェグナーは、1914年に靴職人を父にデンマークとドイツの国境の町、トゥナーに生まれました。
家具職人H.Fスタルベアーグの元で家具を学び、17歳で家具職人の資格を取得。
3年後コペンハーゲンに移り、1936年から1938年まで工芸スクールに在籍した後、デザイナーとしての活動を開始しました。
1940年、ウェグナーはアルネ・ヤコブセンとエリック・ムラーが担当する、オーフース市市庁舎の建築プロジェクトに参加し。そこに納める家具をデザインしています。またデニッシュデザイン界に大きな貢献を残した家具工房ヨハネス・ハンセン社との協働もこの年に始まっています。
1943年、ウェグナーは自身のデザイン事務所を開設。
1949年には初めてカール・ハンセン&サンに椅子をデザインしています。この時デザインされたのがCH24、Yチェア。
1950年、発表とともに大きな反響を呼び、現在に至るまで継続してカール・ハンセン&サンで製作されています。
20世紀を代表する世界的な家具デザイナー・ハンスJ.ウェグナー
「デニッシュモダンと言われるあの独特のスタイルはどのように作られたのか」と、デンマーク国外の人々から頻繁に聞かれていたウェグナー。デザイン界の大きな流れとなった、デニッシュモダンを牽引したデザイナーの一人としてウエグナーは、これに対してこう答えたことがあります。「デザインをよりシンプルにしていく作業。4本の脚、座面、背、アーム、そしてそれをつなぐフレームというように、必要最小限なところまで、無駄をそぎ落とすということなのです。」
シンプルな美と機能性を追求し、その家具の核となるもの、その家具の本質ともいえるべきものを露わにしていく。
これが、ウェグナーが後世に遺した最も大きな功績と言えます。
また、数々の名だたるデザイン賞を受賞し、デンマーク王立美術大学からは名誉学上号が贈られているほか、英国ロンドンの王立工業デザイナー協会の名誉会員にも選出されています。そして、その作品はニューヨークのMOMAからミュンヘンのディ・ノイエ・ザムルングまで、世界中の著名な美術館でコレクションされています。
その歴史は1908年、家具職人カール・ハンセンが自身の小さな工房をデンマーク、オーデンセに開設した時に始まりました。
それ以来、信条となってきたのは、妥協の無いクラフトマンシップへのこだわり、そして新しいデザインを追求してやまない優れたデザイナーとの協働。この二つがカール・ハンセン&サンの歴史を支えてきました。
1949年、カール・ハンセンの息子ホルガー・ハンセンは当時新進のデザイナーであったハンスJ.ウェグナーに協働を提案します。
大きな市場への進出に興味を持っていたウェグナーは、カール・ハンセン&サンとの協働作業を承諾し、カール・ハンセン社に3週間滞在し、4つの椅子をデザインします。
それがCH22、CH23、CH24、そしてCH25、今日「最初の名作」として知られる椅子コレクションです。
いずれもウェグナーの木材、機能とフォルムへの深い造詣から生まれる斬新なデザイン。それぞれに異なる彫刻的なフォルムをもつ椅子が誕生しました。それまでにない独創的なビジュアルなもつこれらの椅子は、カール・ハンセン&サンをモダンデザインへと向かわせます。
その中でもウェグナーの斬新な才能を代表する椅子として、世界的に知られているのがYチェア、CH24です。1950年に発表されて以来、デニッシュモダンの旗手、ウェグナーの代表作として生産が継続しています。一体となったアームと背、そしてY字形の背もたれが大きな特徴。成形合板製のY字形の背もたれは、体を心地よくサポートするとともに、一体化したアームと背をしっかりと支えています。独創的な美しいフォルムと優れた安定感で知られるCH24。その完成に必要な製作工程は100以上、そのほとんどが手作業で行われています。
今日まで、カール・ハンセン&サンは、ウェグナーデザインをもっとも数多く生産する家具メーカーとして、ハンスJウェグナースタジオと密接に仕事をし、デンマークで製品を作り続けています。
さらに、2002年よりコーア・クリント、オーレ・ヴァンシャー、アルネ・ヤコブセン、モーエンス・コッホなど、ハンスJ.ウェグナーに並ぶ巨匠デザイナーたちのデザインが商品ラインナップに加わり、カール・ハンセン&サンの名作コレクションとして製造販売しています。